① 近時,総会での会則改正で200名の特別定足数を集めることが困難になりつつあり,理事者や各会派がこれを満たすために動員に苦労をしており,その数自体が形骸化している。 ② 「会規」改正は80名の定足数で足りるのに,「会則」改正は200名もの定足数を求めるが,実際には,「会則」の中にも「会規」と同じように事務的な規程も多く,両者の手続きに違いを設けるほど合理的な差異はない。 ③ 東弁以外の大きな単位会で,このような厳しい定足数を定めているところはない。 ④ 総会の実態は,出席する会員と質疑・討論を行う会員は,概ね固定されており,80名の通常多数決であっても十分中身のある議論は可能である。 ⑤ これを受けて,代理権行使の数を一人3個から一人10個までに増やすべきである。
このような諮問がされた背景事情として,以下のような実態がある。 ① 総会において,議決が行われる可能性のある時間帯(コアタイム)に議場に居てくれるように理事者ないし各会派の執行部等が会員に依頼して何とか乗り切っている実態がある。会員数の増加がある中にあっても,この実態は変わらず,実際に平日の午後1時から4時ないし5時までの全時間を継続して議場に多数の会員が居ることは,関心の低さ故か,時間的余裕のなさ故か,期待できない状況にある。そのため,理事者は各会派に人数を割り振り出席要請をし,法友会においても執行部,各部幹事長等が会員に対して協力要請をして乗り切っていることが少なくない。 ② 総会において,採決に入る「コアタイム」と称される短時間に議場に200名を動員する努力は,「動員する人」「動員される人」の双方が,総会の特別決議を形式的手続きに過ぎないのではないか疑問を持つことも有り得る。なぜなら,もし会則改正が慎重な議論を尽くすところにこそ重要な本質があるとすると,実際に常議員会,会員集会,あるいは各会派内において,慎重に議論されていることも少なくはないからである。 ③ 確かに,定足数が加重されているからと言って,直ちに議論が活発・活性化するとは限らないし,慎重な議論を尽くしたと言い切ることもできないであろう。
しかし,諮問に対しては,以下のような反対・慎重な意見が出て,定足数の減員は見送ることとなった。 ① 2011(平成23)年の定時総会において,80名の定足数すら満たすのに危ういときもあった。そのために定足数を減らして乗り切ろうという発想では,200名どころか80名の定足数さえも緩和の方向に陥るのではないか。7,000名を超える東弁の総会が数十名の出席で審議可決されてよいのか。 ② 2002(平成24)年の臨時総会途中で,出席者が200名を割り会則改正案件が流れたことがあったが,それ以来,会則改正で定足数われは発生していない。200名の参加が困難であるという立法事実はない。 ③ 「会則」の中に「会規」で定めるに適当な事務的規程もあるのは事実である。しかし,それなら会規に落とすべきであって,そのような規程が散見されるからと言って直ちに「会則」改正も「会規」同様でよいとは乱暴であり,本末転倒である。「会則」は,「会規」とは異なり,弁護士法で定めることが義務付けられている重要規程であり,改正手続きが厳格であるのは合理性がある。 ④ 1960(昭和35)年にそれまでの特別定足数が100名だったものを200名に改正したのか,その趣旨を検討すべきである。 ⑤ (若手)会員に対して,多少無理のある総会出席への働きかけが必要になったとしても,総会に出席経験を持ったことから会務に関心を抱くきっかけになる可能性があるとの期待もある。 ⑥ 会員数が増加している状態において,その確保することが困難であることをもって重要事項の総会決議に必要な定足数(7,000名のうち80名とするならば,わずかに1.14%であり,200名としても2.86%である)を半数以下に減らすことが,会議体のあり方として適当か否か。近年は,毎年300名前後の会員増加が見られる。 ⑦ 結局,東弁理事者あるいは各会派のリーダーが適時的確な会則改正が必要だと確信したとして,ときに煩瑣な形式手続きを履践するだけのような思いに駆られても,民主的基盤に立つべき多数の賛同を得る努力を継続しなければならないのではないか。